2024/08/28その他

ダイバーシティ&インクルージョン

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CISO事業部 中村 和之

昨今、チームや組織編制の際に声高に重要視される「ダイバーシティとインクルージョン」について、一度足を止めてしっかりと向き合ってみました。

 最近、お客様より「チームビルディングの際、ダイバーシティ&インクルージョンを意識したバランスのよいチーム作りを意識している」というお言葉を頂く事が多くなっております。聞き慣れた言葉だけに、何となく理解した気になって、思わず「確かに大事ですね」と言ったものの、「はて?」自分はその言葉の意味を正確に理解し、自身のチームや組織作りに活かせているのか?という疑問から、少し足を止めて言葉の意味や実行に移すにあたっての注意点について記事にまとめるに至っております。
 私は、ダイバーシティとインクルージョンを常にセットで使われる言葉として、また企業の業績を良くするための処方箋として理解しています。なんとなくの思い付きではなく、多くの統計情報や事実を元にそのような捉え方をしています。
 女性や国籍の異なる人達が活躍しているから業績が良いのか、業績が良いから女性や国籍の異なる人達が活躍出来ているのかは正確に判断出来ないところはありますが、そうなっているのは事実です。
 しかし、処方箋といってもどの企業にも効く訳ではなく、受け入れるための企業文化が必須な要素だと日々感じるところです。その屋台骨を支えているのがIntegrity(インテグリティ)=「高潔さ、誠実さ、真摯であること」であると思います。個々が持つインテグリティの要素が集まり,重なり合うことで企業文化を作り、さらなる成長へ向けてダイバーシティ&インクルージョンをベースとした企業文化にインテグリティが加わることでさらなる業績向上及び組織の成長がもたらされると、今回改めてお客様とのやりとりの中で明確に言葉に出来たように感じています。
 しかし、日々個人,組織と向き合う中で厄介な存在である「無意識バイアス」という悪魔に悩まされてもいます。一言でいうと、個人の偏った勝手な思い込みです。しかも、自身のことを3割増しで良いと考えたがる人間の素質の上に他者を偏った「無意識バイアス(フィルター)」で見てしまうという人間の性質です。偏った「無意識バイアス」は、本当に自身のマインドに良くない影響もたらします。特に、男女,国籍等にはかなり過敏に反応して、自然と偏った方向へ思考を導く傾向にあります。
 しかし、一つだけバイアスを防止する策があります。それは、実際に「数えて、調べて、比べて」みることです。たったそれだけの一手間を加えるだけで、偏ったバイアスから解放され、冷静且つ平等に物事を捉えることができるようになります。

.1 無意識バイアスの重要4項目
「正常性バイアス」、「楽観バイアス」、「確証バイアス」、「現状維持バイアス」

 

 結論として一つ言えることは、インテグリティ無くして企業文化やダイバーシティ&インクルージョンは語れないという事であり、「人に対して誠実である」・「職務に対して誠実である」という状態に自分を高める以外道は無いように思えます。相手によって態度や言葉を変えることが無い、裏表のない人であり、他人にも自分にも嘘をつかない人、その軸となる人間性を元に、一貫した姿勢で職務にあたる個人、または集団が作り上げる組織であると思います。
 聖人君子のような話ですが、「複雑化」,「多様化」,「分散化」,「多忙化」した職場環境においてインテグリティが重要なファクターとして必要とされていると常々感じてしまいます。
 仕事はどのような職種・分野であれ、コミュニケーションが8割で2割がスキルだと言われます。仕事のほとんどを占めるコミュニケーションにおいて、インテグリティを軸に誠実且つ真摯に対応する力を培うことができるかがキャリアプランに大きく寄与してくると私は思います。むしろ、明確なキャリアプランの有無でインテグリティを培う土壌が養われるかが決まるのだと思っています。
 最近、採用面談の際にスキルと人間性のバランスに注視するようになったのも、今回お客様と交わした言葉「ダイバーシティ&インクルージョン」が影響している気がしてなりません。
 最後に、ダイバーシティ&インクルージョンに加え、ビジョンや価値観の共有が企業の縦割り組織を壊し他部署とのより良い関係構築を加速して、企業のさらなる発展を後押ししてくれると一縷の望みを抱いております。

【プロフィール】

中村 和之(なかむら かずゆき)

 2024年にデジタルアーツコンサルティング株式会社(DAC
 ※2024/4よりアイディルートコンサルティング株式会社(IDR-C)へ社名変更

ヒューレットパッカード、パロアルトネットワークスを経て、ITインフラ・サイバーセキュリティの分野においてコンサルタントとして活動。最近では、多岐に渡るセキュリティ製品を顧客要件に応じて適切に組み合わせる知験作りにフォーカスした活動に注力している。

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